平衡化した後のIPGゲルの洗浄(2回目)
アガロースをすべて添加し終わったらIPGドライストリップを二次元目の泳動バッファーが入った筒の中で2,3回上下させて洗う。乾燥しすぎているとガラス板と密着してしまって操作がしにくいためである。少し泳動バッファーが残った状態のIPGゲルを二次元目のゲルに載せていく。
図14 泳動バッファーでIPGゲルを湿らせているところ
IPGゲルの添加操作
あとでスキャンすることを考えると、二次元目のゲルに載せるIPGゲルの向きを一定にしておいた方がいい。スキャンするときや画像解析のときでもいくらでも調整できるのだが面倒なので。筆者のラボでは以下のように決めている。
- ゲル面が手前(プラスチック面がガラス板に密着)
- バーコードが付いた方(酸性側)が左
ちなみにスキャンするときはプラスチック面がついた方のガラス板を下にする。
図15 IPGゲルの添加(1)
左端を支点にして、
図16 IPGゲルの添加(2)
できるだけ泡が入らないようにIPGドライストリップゲルを下ろしていく。
図17 IPGゲルの添加(3)
文章にするのは難しいのだが、厚さ1 mm以下、長さ24 ㎝のペラペラのストリップを操作しているところをイメージしていただきたい。この時点で背面のガラス板にストリップが張り付かないように、泳動バッファーで洗ったわけである。
ゲルを添加し終えたら、プラスチックのヘラ(SE 600 Ruby / 660 / 400 Spacers、0.75 mm厚、2 cm幅スペーサー(16 cm長)2 枚、コード番号:80618051、Cytiva社)でゲルを上から抑える。IPGゲルはたいへん薄いのだが、背面のプラスチックを横から抑えつつ、泡をできるだけ追い出すようなつもりで操作する。場所によっては多少の泡はそれほど問題にならないが、IPGゲルとSDS-PAGEゲルの間にある泡は問題なので、原則的には泡はまったくないようにする。
泡以外に問題なのはIPGゲルを押さえすぎて二次元目のゲルとIPGゲルが密着し過ぎてしまうことである。二次元目の泳動パターンで、高分子側が著しく圧迫されたようなパターンになることがある。再現性よく発生するトラブルではないので正直言って原因は定かではないのだが、IPGゲルが二次元目のゲルと密着しすぎると発生する傾向にある。IPGゲルは二次元目のゲルに完全にがっつり密着する必要はないことを明記しておきたい。
図18 スペーサーでIPGゲルを抑えているところ(1)
図19 スペーサーでIPGゲルを抑えているところ(2)
何度も軽くIPGゲルを上からタッピングしつつ泡を除きながら押し込む。
左から右へと自分で決めて操作するとよい。
図20 スペーサーでIPGゲルを抑えているところ(3)
最後まで押し込みきったところ。
図21 スペーサーでIPGゲルを抑えているところ(4)
操作が完了したところ。
この状態で2枚目についても操作をする。12枚が終わるころには時間も経っており、アガロースゲルは固まっている。
あとは泳動装置にゲルを設置するだけである。この段階はさすがに失敗しない。