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クロマトグラフィーのサンプル調製における注意点クロマトグラフィー操作前には、「担体の目詰まりの原因となる微粒子を取り除く」といった全般的に当てはまる注意点に加えて、クロマトグラフィー技術の性質ごとにサンプル調製のポイントが異なってきます。ここでは、これらの点についてご紹介します。※ここでは、「クロマトグラフィー = タンパク質・ペプチドを対象とした液体クロマトグラフィー」を意味しています。 このページの目次 クロマトグラフィー全般についての注意点サンプルを正しく扱うことは、最高の分離能が得られる近道であるとともに、カラムの劣化防止にもつながります。以下の点に気を付けてサンプル調製を行ってください。 微粒子の除去イントロダクションでも述べましたが、サンプル溶液に含まれている微粒子は完全に除く必要があります。微粒子には脂質や細胞片などが挙げられます。一般的に、これらの除去には遠心分離またはフィルターを用います。 どちらかの操作でよい場合もありますが、ほとんどの場合、両方のステップ(遠心分離→フィルターろ過)を行うことで、十分に清澄化することができます。 遠心分離脂質や細胞片などの微粒子は遠心分離により除去できます。遠心後もサンプルが清澄化されていないときには、ろ紙や粗めの5 µmフィルターでろ過した後に、次項目のフィルターろ過操作を行ってください。 遠心分離による微粒子除去 一般プロトコール12,000×g , 4℃, 30分間遠心 【備考】
フィルターによるろ過その他の微粒状物質はフィルターろ過により取り除きます。セルロースアセテートやPVDFのような、タンパク質の非特異的吸着が少ない材質を使用します。 クロマトグラフィー前のサンプル調製では、担体の粒子径によってフィルターのポアサイズを選択します。
安定化剤の添加必要に応じて安定化剤を添加します。DTT、ATP、グリセロールなどが用いられます。 各クロマトグラフィー技術における注意点各クロマトグラフィー技術の性質を理解し、サンプル調製に生かします。タンパク質精製においてよく用いる4つのクロマトグラフィー技術について、簡単に注意点を挙げましたのでご参照ください。 イオン交換クロマトグラフィー最も注意するべきことは、担体への結合を阻害する塩やイオン性界面活性剤などの荷電性物質です。これらの物質はあらかじめ混入しないような操作手順にするか、脱塩やバッファー交換の操作によって除くか、どちらかを行ってください。 また、バッファーのpH強度にも気をつけましょう。サンプルを溶解した時点で溶液時に調整したpHは変化します。クロマトグラフィー処理前には必ず確認しましょう。 ゲルろ過クロマトグラフィーきれいな分離能を求めるには、サンプル溶液量、濃度、粘性が重要です。 通常、ゲルろ過での分離におけるサンプル溶液量はベッド体積の0.5~4%が推奨ですが、2%以下に抑えることが望ましいです。サンプルの複雑さや分離ピークの近接状況にもよりますので、実験を行いながら至適化します。 サンプル濃度は高いほどよいですが、70 mg/mlぐらいが上限です。濃度が濃すぎるとサンプル溶液の粘性が上がり、カラム中での分子量に応じた挙動が阻害され分離が悪くなります。 また、サンプルが非特異的に担体へイオン結合することで、ピーク溶出が遅れる現象が起こります。これを抑えるためには、送液バッファーに0.15 M NaCl程度の塩を添加します。 疎水性相互作用クロマトグラフィー担体への吸着は静電的作用の低い高塩濃度下で行うため、サンプル溶液の塩濃度も高めておきます。イオン交換クロマトグラフィーや硫安沈殿(または硫安分画)処理後のサンプルはすでに高塩濃度であるため、これらの処理後のサンプルをそのまま用いることが多いです。 アフィニティークロマトグラフィーアフィニティーの原理によってサンプル調製は異なりますので、プロトコール例やマニュアルをよく確認してください。少なくとも結合を阻害するような物質は、サンプル溶液から取り除きましょう。 たとえば、金属イオンをリガンドとした担体によるHis-tagタンパク質精製では、金属イオン性プロテアーゼ阻害剤であるEDTAは、担体と金属イオンの結合を阻害します。したがって、サンプル溶液にEDTAが含まれないよう注意します。 お問合せフォーム※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。 お問い合わせありがとうございます。 |
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