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Location:Home実験手法別製品・技術情報2D DIGE(蛍光標識二次元発現差異解析)

DIGE道場看板

カロリ鈴木の技解説

【DIGE道場での1年の稽古を終えて】

かの嘉納治五郎氏は「形稽古は文法、乱取りは作文である」と解説しています。
今回、DIGE道場を通じて形稽古と乱取稽古の二つの稽古を一年を通して近藤先生につけていただいたように感じます。
形稽古(基礎)では、正しい技術・知識を、乱取稽古(実践編)では実験室ですぐに取り入れられるノウハウを教えて頂きました。
また、コラムを通じて研究に対する熱いスピリッツも十分に伝授いただいたのではないかと、強く思う次第です。

最後にこのような形で僅かでも近藤先生のお仕事や柔道に関わりを持てたことを感謝し、また、読者の皆さんにお付き合いいただけましたこと御礼申し上げます。

【左背負い投げ by Dr.近藤】
今回は実写版です!!!
このページの下の方に設置したリンク先をご参照ください!!!

Dr.近藤の十八番技 「右組みからの左背負い投げ」

遂に最終回!

2D-DIGE/MS法のノウハウについて、計10回に分けて近藤先生に公開、解説いただいた。
連載の目的、「誰にでも確実にプロテオミクス技術の一つとして取り入れることができるよう、読者研究者のプロテオーム研究がより戦略的な発展を遂げること」の一助となれただろうか。
どこか一箇所でも読者研究者の心に残り、何かの活動(研究に限らず)のきっかけとしていただけたら幸いである。

連載裏話

現役研究者の先生に技術連載を執筆いただきメールマガジンで定期配信するというのは、弊社にとって初めての試みであった。 近藤先生には企画段階から多大なご協力をいただき、ほぼ毎月執筆いただいた。月次配信というのは当初の想像をはるかに超えて大変な作業であった。

近藤先生の執筆のご苦労は想像に難くない。最終回にあたり改めて感謝を申し上げたい。また、連載にご協力いただいた近藤ラボの皆様、ありがとうございました。

最後に本連載に関わったすべての方、1年間お付き合いいただいた読者の方にも感謝申し上げます。

DIGE 道場 最終回
DIGE道場の1年間

「二次元電気泳動は名人芸」という学会の俗説を打ち消すことが本連載を始めたもっとも大きな動機だった。国立がんセンターで20名以上の医師、技術員、学生と共に実験を行ってきた経験から、正しいプロトコールに基づいて適切にトレーニングを受けさえすれば誰でも短期間にマスターできるのが二次元電気泳動であり2D-DIGEであると筆者は確信している。本連載が多くの研究者の役に立ち、近い将来、誰でも最低限の労力(と試薬代)で蛍光二次元電気泳動法を使ってデータが出せるようになることを願っている。

最後に、それぞれの実験工程のポイントを整理してDIGE道場の1年間の終わりとしたい。

1. サンプル調製 (第3回参照)

タンパク質抽出バッファー(2M Thiourea、7M Urea、3% CHAPS、1% Triton X-100)はすべての細胞、組織で共通に使用することができる。タンパク質を抽出する前に、培養細胞はTCA固定、凍結組織は粉末状に破砕、血清はアセトン沈澱、などの処理をすることがポイント。レーザーマイクロダイセクションの手技はいたって簡単でまず失敗しない。

【参照ページ】

第3回 できるプロのタンパク質抽出法

2. 標識反応 (第4回参照)

pHが8~8.5の間にくるようにTrisバッファーで調整する。塩濃度を低くすることがポイント。一次元目を開始する最終段階ではトリス濃度はどんなに高くても10 mM、できれば5 mM以下に抑えるようにする。標識反応時の振とうもポイント。

【参照ページ】

第4回 電気泳動操作のポイント  ~標識からSDS平衡化まで~

3. 一次元目電気泳動 (等電点電気泳動、第4回参照)

電気泳動装置は、構造が簡単で通常の使用ではまず壊れないMultiphor II Electrophoresis Unitがおすすめ。電極ろ紙の湿り具合に注意。

【参照ページ】

第4回 電気泳動操作のポイント  ~標識からSDS平衡化まで~

4. 二次元目電気泳動 (SDS-PAGE、第5~7回参照)

成功のポイントは平衡化。溶液が室温になっていることが必要。平衡化不全はSDS化不全として二次元目のパターンで認識できる。ゲル作製のポイントも試薬の温度管理。アクリルアミドやバッファーが室温になっていることが必要。ガラス板の管理が重要。設置面積がきわめてコンパクトなのはEttan™ DALT twelve Large Electrophoresis System (以下 Ettan™ DALT twelve )だが、Typhoon™のスキャン面積いっぱいのサイズの電気泳動を行うにはバイオクラフト社製の電気泳動装置が必要。

【参照ページ】

第5回 実は簡単!グラジエントSDS-PAGEゲルの作製
第6回 ゲルボックスを使ったSDS-PAGEゲル作製の実際
第7回 IPGゲルの平衡化から二次元目への添加まで

5. レーザースキャン (第5回参照)

スキャナーの台数は多ければ多いほど実験の効率がよい。スキャナー面積も広ければ広い程よい。

【参照ページ】

第5回 実は簡単!グラジエントSDS-PAGEゲルの作製

6. 画像解析 (第10回参照)

画像解析ソフトの限界を超えて画像(ゲル)枚数が多い場合は、ファイルを分けて解析することで対応できる。画像解析の結果はエクセル、テキスト、xmlファイルなどで画像解析ソフトの外に出し、一般的な統計解析ソフトを使用して解析するのが得策。

【参照ページ】

コラム第10回 画像解析ソフトウェアはどれがいいのか

7. スポットの回収 (第8回参照)

Ettan™ Spot Pickerはトラブルがほぼ皆無の優れた機械でEttan™ DALT twelveサイズまでのゲルにはまずおすすめ。Ettan™ DALT twelveより大きなサイズのゲルにはアズワン社のMolecularHunterが市販製品では唯一対応している。

【参照ページ】

第8回 ロボットを使ったスポットの回収

8. In-gel digestion法 (第9、10回参照)

徹底的にゲル片を洗いZipTip™(ミリポア社)を省略すること、ゲル片が質量分析に持ち越されないようゲル片をいたずらに突かないこと、毎回メトロノームのように一定のペースで実験を行うこと、などがポイント。

【参照ページ】

第9回 成功するIn-gel digestion法
第10回 成功するIn-gel digestion法 ~実践編~

以上。説明不足の点など多々あると思います。ご指摘いただければ幸いです。

1年間どうもありがとうございました。

礼に始まり礼に終わる
DIGEな柔道部の面々。左から
・カロリ鈴木
・Dr. 近藤
・ファイター阪田(最終回スペシャルページの投げられ役)

近藤 格

最終回スペシャルページ

→Dr.近藤の十八番技 「右組みからの左背負い投げ」

Dr. 近藤のコラム 「2D-DIGE の熱い心」

→コラム最終回 「プロトコールの次に必要なもの」


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近藤 格 先生の研究室 Webサイト

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