Cytiva

検索のヘルプ

Location:Home実験手法別製品・技術情報BIA(生物物理学的相互作用解析) > 相互作用解析の王道

Presented by Dr. Kouhei Tsumoto
東京大学大学院
医科学研究所
津本 浩平 先生

実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(1)

目次

  1. はじめに(当ページです)
  2. フラグメントスクリーニングにおけるSPR測定の注意点
  3. 選出されたフラグメントのITCを用いた効率の良いヒットバリデーション法とエンタルピーランキング法(competitive SITE法)

はじめに

前回はバイオ医薬品のお話しでしたが、今回から2回にわたって再び低分子医薬品の評価法をテーマにしたいと思います。今回はまず、上記の1~3までをお話し、次回実験例のご紹介とまとめをお話ししたいと思います。

第7回の抗体医薬開発の技術革新~物理化学、計算科学との融合~でも少しだけ触れましたが、最近、300 Da以下の低分子量の化合物(フラグメント化合物)からなるライブラリーから、低アフィニティー(例えばKD値が数100 µMや時にはmMオーダー)のヒット化合物を選出し、これを出発点として低分子医薬品を設計していくFragment-Based Drug Discovery(FBDD)という方法があります。この方法で用いるライブラリーは一般的に1000~10000化合物程度と従来に比べて非常に少ないにも関わらず、分子量が小さいために化合物構造の多様性(ケミカルスペース)をまんべんなくカバーすることができます。そのため、得られた選出化合物に、構造情報・相互作用情報・計算科学などの情報を密接に連携させながら合成展開することで、最適な構造を逃すことなく、有効な化合物を生み出すことが期待できると考えられています。

さて、フラグメント化合物と言っても一般的なリード化合物と比べて、アフィニティーが低くて、分子量がせいぜい1/3~半分くらいになるだけです。これを測定するのに今までの化合物測定と何が違うのでしょうか?実はかなり気をつけなければいけない点が出てくるのです。

今回はまずフラグメント化合物をSPRとITCで測定するために気をつけなければいけないこと、さらに効率的に測定するためにはどうすれば良いのか?ということの概略をお話ししたいと思います。そして、次回はいよいよそれらを考えたうえでのフラグメントスクリーニングの実例についてご紹介します。

次へ(フラグメントスクリーニングにおけるSPR測定の注意点)


相互作用解析の王道」について

相互作用解析の王道」は、2009年8月よりバイオダイレクトメールでお届けしています。

連載記事一覧
タイトル 配信
ご挨拶 連載「相互作用解析の王道」を始めるにあたって 2009年8月
第1回 原理:其は王道を歩む基礎体力 2009年10月
第2回 実践編その1:抗シガトキシン抗体の相互作用解析例 2009年12月
第3回 対談:アフィニティーを測定する際の濃度測定はどうする? 2010年2月
第4回 実践編-2:相互作用解析手法を用いた低分子スクリーニング その1 2010年4月
第5回 実践編-3:核酸-タンパク質相互作用の熱力学的解析 2010年8月
第6回 概論:タンパク質/バイオ医薬品の品質評価における、SPR/カロリメトリーの有用性 2010年11月
第7回 抗体医薬開発の技術革新~物理化学、計算科学との融合~ 2011年5月
第8回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~相互作用の観点から~ 2011年8月
第9回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~タンパク質の構造安定性の観点から~ 2011年9月
第10回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(1) 2011年10月
第11回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(2) 2011年12月
参考 用語集  
〈応用編〉連載記事一覧
タイトル 配信
第1回 抗体医薬リードのカイネティクス評価手法の実例 2012年5月
第2回 細胞表面受容体の弱く速い認識を解析する 2012年7月
第3回 SPRを用いた分子間相互作用測定における、“低”固定化量の重要性 2012年8月
第4回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(1) 2012年9月
第5回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(2) 2012年10月
第6回 「ファージライブラリによるペプチドリガンドのデザインにおける相互作用解析」 2012年11月
第7回 SPRとITCの競合法を用いたフラグメント化合物のスクリーニングとキャラクタリゼーション 2012年12月
第8回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(3) 2013年2月
第9回 熱分析とタンパク質立体構造に基づくリガンド認識機構の解析 2013年3月
〈最終回〉
最終回 連載「相互作用解析の王道」を終えるにあたって ~3年間を振り返って、そしてこれから~ 2013年4月

バイオダイレクトメールは弊社WEB会員向けメールマガジンです。バイオダイレクトメールの配信をご希望の方は、下記リンク先からご登録をお願いいたします。

WEB会員およびバイオダイレクトメール読者へのご登録

関連リンク

津本先生の研究内容や論文などはこちら→津本浩平先生の研究室Webサイト
東京大学 医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリー


お問合せフォーム

※日本ポールの他事業部取扱い製品(例: 食品・飲料、半導体、化学/石油/ガス )はこちらより各事業部へお問い合わせください。