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Location:Home実験手法別製品・技術情報BIA(生物物理学的相互作用解析) > 相互作用解析の王道

Presented by Dr. Kouhei Tsumoto
東京大学大学院
医科学研究所
津本 浩平 先生

連載「相互作用解析の王道」を終えるにあたって
~3年間を振り返って、そしてこれから~

目次

  1. 相互作用の王道連載開始から今日までの変化を振り返って(当ページです)
  2. 化学と生物学の融合と発展
  3. 津本研の研究内容の変化
  4. 相互作用解析の未来
  5. 相互作用の王道のまとめ

1. 相互作用の王道連載開始から今日までの変化を振り返って
1-1 この3年間は相互作用測定のターニングポイント

太蔵:いよいよ今回が3年にわたって連載してきた相互作用解析の王道最終回です。この3年間で相互作用研究に関わる研究者の知識、理解はどのように変化したとお考えですか?

津本:相互作用に関する研究者の知識と理解という意味において、爆発的な変化が生じたのは低分子を扱う研究者に、Biacore™だけではなくてカロリメーターや、他の相互作用解析という技術が広く理解されたという点ですね。

太蔵:3年前はあまり認知されていなかったとお考えですか。

津本:Biacore™はある程度認知されていたと思います。しかし、他の手法も併せて使わないといけないなという考えが、つまり単にKDだけを求めるのではなくて、他のパラメーターを求めなければ、という流れが急速に広まって、皆さんがたいへんな勢いで情報収集して、一気に一般化した、というイメージですね。それに伴って、もともとそういう測定が苦手だと思っていた業界の人たち、研究分野の人たちがどんどん知識をつけているというところが現状だと思います。その辺の理解は進める点では、おそらく貴社のコントリビューションが一番高いと本当に思うのですけどね、装置を持っていますから。その努力もあって急速に知識水準が高まっていると思います。理解自体も進んでいるということですね。

知也:ありがとうございます。今、「弊社のコントリビューション」と言っていただきましたが、それ以外で、急速に進んだ原因は何だとお考えですか?

津本:バイオ医薬の人は以前からKDだけでなく他のパラメーターも気にしていました。それが低分子でも普通に使われることになって、規模が一気に広がったという感じがありますね。さらに、まだ一般化していないけれど、細胞を使ったアッセイさえBiacore™で模索する流れも出てきています。そういう意味では、この3年間で本当に一気に進んで、そう“急激”という表現が合っていると思いますね。

太蔵:それには津本先生の努力があったと思うのですけれども、何がきっかけになったのでしょうか。

津本:相互解析の情報が、例えば薬づくりに必要だったとか、材料づくりにはすごく有益だということが欧米中心に言われ出したということに加えて、多くの方が測定することによって、いろいろな一般性が出ますね。そうしたら、「あ、こういうふうに測ればいいんだ」とか、「こういうふうに応用すればいいんだ」ということがわかってきたから、「あ、じゃあ、使えるんじゃないか」というのが急速に広まったと思いますね。

太蔵:そのターニングポイントがこの3年間にあったというところですね。

津本:そうだと思います。

 

次のページへ 相互作用はみんな「やる」。では、解釈するかという話になってきた



相互作用解析の王道」について

相互作用解析の王道」は、2009年8月よりバイオダイレクトメールでお届けしています。

連載記事一覧
タイトル 配信
ご挨拶 連載「相互作用解析の王道」を始めるにあたって 2009年8月
第1回 原理:其は王道を歩む基礎体力 2009年10月
第2回 実践編その1:抗シガトキシン抗体の相互作用解析例 2009年12月
第3回 対談:アフィニティーを測定する際の濃度測定はどうする? 2010年2月
第4回 実践編-2:相互作用解析手法を用いた低分子スクリーニング その1 2010年4月
第5回 実践編-3:核酸-タンパク質相互作用の熱力学的解析 2010年8月
第6回 概論:タンパク質/バイオ医薬品の品質評価における、SPR/カロリメトリーの有用性 2010年11月
第7回 抗体医薬開発の技術革新~物理化学、計算科学との融合~ 2011年5月
第8回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~相互作用の観点から~ 2011年8月
第9回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~タンパク質の構造安定性の観点から~ 2011年9月
第10回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(1) 2011年10月
第11回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(2) 2011年12月
参考 用語集  
〈応用編〉連載記事一覧
タイトル 配信
第1回 抗体医薬リードのカイネティクス評価手法の実例 2012年5月
第2回 細胞表面受容体の弱く速い認識を解析する 2012年7月
第3回 SPRを用いた分子間相互作用測定における、“低”固定化量の重要性 2012年8月
第4回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(1) 2012年9月
第5回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(2) 2012年10月
第6回 「ファージライブラリによるペプチドリガンドのデザインにおける相互作用解析」 2012年11月
第7回 SPRとITCの競合法を用いたフラグメント化合物のスクリーニングとキャラクタリゼーション 2012年12月
第8回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(3) 2013年2月
第9回 熱分析とタンパク質立体構造に基づくリガンド認識機構の解析 2013年3月
〈最終回〉
最終回 連載「相互作用解析の王道」を終えるにあたって ~3年間を振り返って、そしてこれから~ 2013年4月

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関連リンク

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東京大学 医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリー


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