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Location:Home実験手法別製品・技術情報BIA(生物物理学的相互作用解析) > 相互作用解析の王道

Presented by Dr. Kouhei Tsumoto
東京大学大学院
医科学研究所
津本 浩平 先生

連載「相互作用解析の王道」を終えるにあたって
~3年間を振り返って、そしてこれから~

4. 相互作用解析の未来
4-2 創薬が今イノベーションを受けているという状態だと思いますね

津本:次に創薬イノベーションですね。

知也:さっきちょっと触れていただきましたが。

津本:バイオ医薬は、当面、生産技術です。しかし、もっと違うものを作るとか、良いものを作るというのと、あとバイオシミラーがシミラーでなくなる(注:古い技術で作られたバイオ医薬品を最新の技術で製造すると、活性が上がってしまう、ということが言われています)、みたいなことが言われています。糖鎖の制御が培地培養法で変わるという話を考えると、生産技術を整備しつつ、新しい分子を作っていくことになるでしょう。もちろんバイオマーカーで新薬ターゲットを見つけるのは相変わらず続いています。そのターゲットから次世代の作用機序で分子がつくられると思うんですね。
低分子は先ほど言ったように、既存の流れは当たり前で、どう新しいものを取り入れていくかという、それはトータルコーディネートになっていくということですね。両方にとってQCが、言葉は悪いですけどお金がかかっていくなという気がしますね。技術が高まるにつれて、その要請がいろいろな当局側から、その検証は必要だね、といわれて、当然、それを入れていくことになりますから。
新しい技術や原理が入ってきたというのではなくて、改善された技術の組合せや新しい使い方が薬の世界に入ってきた、アプリケーション面でのイノベーションが、創薬に入ってきているのです。
なので、今までだったら、創薬=薬学部だったけれど、いろんな学部とか、いろんな技術が入ってきて、薬学部だけで創薬が完結する時代ではなくなってきました。なので、どう薬を作っていこうということが、研究者だけではなくて教育の側からも求められているという気がしますね。工学部に薬学しかしてこなかったような教育を入れるとか、薬学部に、今まで工学部でしかやらなかったような教育が入るといった今までの学部の壁を越えた内容です。イノベーションの流れが全体に、教育に、もう既に来ていると自分自身も感じるので。

太蔵:もう教育のほうにも来ていますか。

津本:ええ。そういうことがわかっている人が社会から要請されていると気づいているので、大学で教育にあたる皆さんも社会からの要請を知りたがりますね。
そういう社会の要請への対応を進めることで、薬学部の未来は明るくなると思いますけど、学生さんもそういった社会の要請を理解して学習や研究に取り組んでいってくれるといいですね。

 

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相互作用解析の王道」について

相互作用解析の王道」は、2009年8月よりバイオダイレクトメールでお届けしています。

連載記事一覧
タイトル 配信
ご挨拶 連載「相互作用解析の王道」を始めるにあたって 2009年8月
第1回 原理:其は王道を歩む基礎体力 2009年10月
第2回 実践編その1:抗シガトキシン抗体の相互作用解析例 2009年12月
第3回 対談:アフィニティーを測定する際の濃度測定はどうする? 2010年2月
第4回 実践編-2:相互作用解析手法を用いた低分子スクリーニング その1 2010年4月
第5回 実践編-3:核酸-タンパク質相互作用の熱力学的解析 2010年8月
第6回 概論:タンパク質/バイオ医薬品の品質評価における、SPR/カロリメトリーの有用性 2010年11月
第7回 抗体医薬開発の技術革新~物理化学、計算科学との融合~ 2011年5月
第8回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~相互作用の観点から~ 2011年8月
第9回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~タンパク質の構造安定性の観点から~ 2011年9月
第10回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(1) 2011年10月
第11回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(2) 2011年12月
参考 用語集  
〈応用編〉連載記事一覧
タイトル 配信
第1回 抗体医薬リードのカイネティクス評価手法の実例 2012年5月
第2回 細胞表面受容体の弱く速い認識を解析する 2012年7月
第3回 SPRを用いた分子間相互作用測定における、“低”固定化量の重要性 2012年8月
第4回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(1) 2012年9月
第5回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(2) 2012年10月
第6回 「ファージライブラリによるペプチドリガンドのデザインにおける相互作用解析」 2012年11月
第7回 SPRとITCの競合法を用いたフラグメント化合物のスクリーニングとキャラクタリゼーション 2012年12月
第8回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(3) 2013年2月
第9回 熱分析とタンパク質立体構造に基づくリガンド認識機構の解析 2013年3月
〈最終回〉
最終回 連載「相互作用解析の王道」を終えるにあたって ~3年間を振り返って、そしてこれから~ 2013年4月

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関連リンク

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東京大学 医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリー


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